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東京地方裁判所 昭和47年(借チ)1012号 決定

〔主文〕1 申立人が別紙目録(二)の建物を取り毀し、同目録(三)の建物を新築することを許可する。

2 申立人は相手方に対し、金二五〇万円を支払え。

3 本裁判確定の日の翌月から本件賃貸借契約の期間を二〇年に、賃料を一ケ月金四〇、二一〇円に変更する。

〔理由〕(申立の要旨)

1 申立人は相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下本件土地という)を非堅固建物所有の目的で期間昭和二三年一〇月三〇日から三〇年、賃料一ケ月一、六〇八円で賃借している。

2 申立人は本件土地上に別紙目録(二)記載の建物(以下本件建物という)を所有しているが、これを取毀し、右目録(三)の建物を新築したい。前記借地契約には増改築禁止の特約は存しないが、相手方はこれが存すると主張し右改築を承諾しないので、賃貸人の承諾に代る許可の裁判を求める。

(当裁判所の判断)

1 本件の資料によると、申立の要旨1記載の事実を認めることができる。相手方は、本件借地権は地上建物の朽廃により消滅したと主張するが資料によれば本件建物は未だ朽廃の状態にないことが認められ、また近い将来朽廃状態に至るとも認めがたい。本件借地契約上増改築禁止の特約が存するか否かは不明であるが、賃貸人においてこれが存するとして賃借人の増改築に異議を述べる場合には、当事者間の紛争を未然に防止するという借地非訟の目的に鑑み、実体の裁判をなし得ると解する。

2 本件の資料によれば、本件改築は土地の利用上相当であると認められるので本件申立は認容すべきである。

ところで、本件改築は建物を取毀し新たに建物を建築するものであるが、本件借地権は約六年後に期限が到来し、契約更新をめぐる紛争の生ずるおそれもないわけではなく、また、新築の許可によつて借地法七条の異議権の消長について争いの存するところであるから、これらの争いを未然に防止するため、本件借地期間を本裁判確定の日の翌月から二〇年間に延長するのが相当であり、これによる賃貸人の不利益は後記財産上の給付によつて調整すべきである。

3 本件改築により、申立人の住の快適性が増加し、収入の増加も期待され、一方相手方は前記借地期間の延長および地上建物の朽廃時期の延長による不利益を受けるので双方の利害の調整をはかるため申立人に相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当である。鑑定委員会は本件土地の更新価格を七、〇四九万円と評価し、給付額はその約四、三%に当る三〇〇万円をもつて相当とするという。

しかしながら、右意見は当裁判所の従前の裁判例に比較し前記諸事情を考慮してもやゝ高額にすぎると考えられるので、右裁判例その他諸般の事情を勘案し、給付額は前記更地価格の約三、五%に当る二五〇万円をもつて相当と考える。

本件増改築に伴い、本件土地の使用収益の価値が増加するので、これに応じて賃料を改定するのが相当であり、従前の賃料が極めて低額であつたことも考慮し、賃料を本裁判確定の日の翌月分から鑑定委員会の意見どおり三、三平方米当り月額二〇〇円、合計四〇、二一〇円に改める。 (河村直樹)

目録

(一) 東京都大田区東六郷二丁目一五番二二

宅地 七八二、七七平方米(二三六、七九坪)のうち六六四、六二平方米(二〇一、〇五坪)

(二) 同所一五番地一一

家屋番号 一五番一八

木造瓦スレート交葺二階建公衆浴場

一階 一九六、六九平方米

二階  一九、八三平方米

(三) 木造瓦亜鉛鉄板交葺二階建公衆浴場

一階 一七五、二〇平方米

二階  八七、六〇平方米

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